先延ばしを克服するには?
僕は最近、最優先したいと思っている仕事を先延ばしにしてしまっている。心理学では、この先延ばし癖をセルフ・ハンディキャッピングと呼ぶそうだ。
Q1: それではなぜ僕は先延ばしをしてしまうのだろう。
今日はこの問いについて考えていきたい。
A1: やることに対する動機が弱い、または不鮮明
まずは最優先しようとしている仕事に対する動機が弱い・不鮮明なことが考えられる。思い返してみると、僕は使命感やビジョンというものに疎かったのだと思う。そこで仕事を達成したときのイメージをふくらませることから考えてみたい。
Q1-1: 仕事を達成したときのイメージは?
A1-1: 共同研究者が喜んでくれる。
僕の仕事は、僕だけのものではない。そのことを意識し、彼らのためにもなるのだと、思いを巡らしていけば、仕事のモチベーションは自ずと上がっていくであろう。
A1-2: 達成感が味わえる。
これまでもある仕事をこなしたときには少なからず達成感を味わってきた。その経験を思い出してみよう。またそのような達成感を味わいたいと思わないだろうか。思うだろう。
A1-3: さらなる先の仕事につながっていく。
以前の仕事がその次の仕事につながるということはよくある。達成した仕事が元になって、人脈も広がって、より世界が広がっていくという経験もしてきた。とても素晴らしいことではないか。
A1-4: 仕事の技量が身につく。
仕事をこなしていくたびに、自分でも気づかぬうちに、技量が上がっていることがある。例えば、研究職では論文を書いて投稿したあと、再度別の論文を書くとき、以前よりは楽に書けるようになっていることに気がつく。図の作り方だったり、表の作り方については、以前書いた論文を参考にすることもできる。仕事を達成して、自らの無自覚のパワーアップに酔いしれてみてはどうか。
補足:仕事の結果ももちろん大事だ。しかしながら、結果ばかりに意識を向けていては、モチベーションを保ち続けることが難しく感じられる時期にぶつかることもまた真である。仕事の結果(アウトプット)やそれによって得られる名誉や出世にとらわれずに、A1-1~4のような、他に得られるものの価値を認識していくことも大事である。
A2: 「やる」の習慣化に失敗している
日々先延ばしをしていると、その先延ばしの悪循環に陥ることがままある。
Q2-1: 「やる」を自動化するには?
A2-1: 仕事道具へのアクセスを容易にする。
毎日、視界に入るものには知らず知らずのうちに大きな影響を受けているものだ。仕事に使うものは容易に視界に入るところに置いておこう。例えば、研究職では研究ノートとペンをよく使うが、ノートを広げたまま机の上に置いておくという工夫ができる。
A2-2: 仕事を開始する前の儀式をつくる。
ラグビー選手の五郎丸選手のポーズは、シュートを決める前に集中するための儀式である。あれと似たようなことを、僕もやるようにすればよいのではないか。ポーズをそのまま真似る、というよりは、何か複雑なルーチンのあとに、仕事に没入する、という習慣をつけるようにする。すぐに思いつくのは、ジョギングで軽く汗を流したあとに、研究に打ち込むことである(これはそんなに複雑なルーチンではないが)。何にせよ、仕事に入る前のルーチンを作れば、仕事に自動的に没入できるようになるのではないか。
A3: やり始めて途中でだれてしまって、ズルズルと他のことをしてしまう。
Q3-1: 「やる」を(一日の中で)継続するには?
A3-1: 誘惑になるものへのアクセスを難しくする。
例えば、冷蔵庫を開けておやつが入っていたら、ついつい食べてしまう、ということもあるかもしれない。テレビがついていて、面白い番組が流れていたら、ついついみてしまうかもしれない。
誘惑になるようなものは、仕事をするときには視界に入らないところに片付けておこう。
A3-2: 仕事の合間の休憩後も、「とりあえずやる」を習慣化する。
とりあえずやることによって、作業興奮が得られて、そのまま没入状態に入ることができるかもしれない。
A3-3: ポドモーロ・テクニック(25分仕事して5分休憩を繰り返す)で時間の使い方を管理する。
時間をきちんと管理しないと仕事がグダグダになってしまうことがある。時間の管理を徹底するために、ポドモーロ・テクニックは非常に有効だ。これは僕が過去に実践し経験したことからも分かる。サルトルの「人間は自由の刑に処せられている」という言葉があるが、ポドモーロ・テクニックで自ら自由をなくし縛ってあげることによって、この「自由の刑」から逃れることができる。
今日は先延ばしを克服するための方法について思考した。さあ、今すぐ仕事に取り掛かろう!